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アメリカナマズの成魚。大きいものは体長1メートルを超えるという=2025年4月8日午後1時51分、滋賀県草津市の県立琵琶湖博物館、北川学撮影

 琵琶湖の南端を出た瀬田川が、ゆったりと蛇行する大津市の山あい。9日朝。京都府との境に近い川面で、小型ボート「うえの丸」に乗った漁師が、はえ縄を引き揚げていた。

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はえ縄を引き揚げる「うえの丸」=2025年5月9日午前8時40分、大津市石山外畑町、北川学撮影

 黒い斑点がある銀色の魚が、ザルの中で、ピクピクとえらを震わせる。北アメリカ原産のチャネルキャットフィッシュ(通称アメリカナマズ)。ナマズ目アメリカナマズ科の淡水魚だ。

 はえ縄の300針に31匹かかった。体長20~30センチ、生後1~2年のものがほとんどだ。

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はえ縄にかかったアメリカナマズ=2025年5月9日午前9時2分、大津市石山外畑町、北川学撮影

 油で揚げるとおいしい淡泊な白身魚だが、ボートから降りた漁師の上野欣一さん(66)は「捕れた方がいいのか、捕れない方がいいのか……」と複雑な顔をした。

 この日、上野さんは滋賀県水産試験場=彦根市=の依頼を受けて魚を捕った。食用ではない。駆除するためだ。

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はえ縄を引き揚げて岸に戻る「うえの丸」=2025年5月9日午前9時1分、大津市石山外畑町、北川学撮影

 「琵琶湖に入り込んでつがいになれば、爆発的に数が増える。そうならないよう瀬田川でぎりぎり食い止めている」と上野さんは言った。

 アメリカナマズは1971年に養殖目的で日本に持ち込まれた。それが2005年には「特定外来生物」に指定され、飼育や生きたままの運搬、野外に放つことなどが禁じられた。

「生態系は壊れ、漁業も大打撃」

 県立琵琶湖博物館=草津市=…

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